理事長 今田 昌樹
(聖母マリアこども園 園長兼務)

 長崎市北部の城山地区に位置する「マリアの丘」に聖マリア学院を創立したのは、被爆から10年を経た1955年のこと。幼稚園の開園で始まり、翌1956年には小学校、1960年には中学校が開校され、この丘の上に一時は合わせて1000人以上の園児、児童、生徒が集う時代もありました。現在は中学校が休校中で、幼稚園、小学校、そして2003年に開園した保育園を合わせて300人弱の小世帯、小さなファミリーとなりましたが、建学以来の精神は現在へとしっかり引き継がれています。
「一人ひとりのいのちの輝きを大切に」という本学の教育理念を苗床、花壇のイメージで考えることができるでしょう。16世紀の後半、島原半島の有馬に設立されたセミナリオはその教育の質の高さや天正少年使節で知られていますが、セミナリオとはラテン語で種を表すセーメン(semen)という言葉が元になっています。もっぱらキリストの教会のために働く若者を育てる全寮制の学校がセミナリオですが、撒かれた種が芽を出し、茎を伸ばし、花を咲かせ、実を結ぶようにと、まさにその目的のために整えられた場、それがセミナリオ本来の心でしょう。それを思う時、この「マリアの丘」で学ぶ子どもたちが皆例外なく、よい土地にまかれた種のように、両親を通して神さまからいただいた「いのちの賜物」を神さまと多くの人々のために伸ばし、活かしていくことができるようにと心から願うものです。さらにこの学院を巣立った卒業生たちが、この世界全体において一人ひとりが神さまの子どもとして大切にされ、いただいた賜物を伸ばし、活かしていける「セミナリオ」のような場となるように、そのために様々な分野で活躍する次代の担い手となっていくことを願ってやみません。

 一日の節目節目での祈りを大切にしながら、<Love to Learn, Learn to Love>をモットーに、子供たちがともに学ぶことの喜びを日々実感として味わっていける学校。聖マリア学院はきょうもこれを目指して歩んでいます。